ケロケロ通信 第67号
http://inaka2.hp.infoseek.co.jp 2003,11,24
環境問題と地域自給
ヨーロッパに遅れること20年、ゴミ処分場問題などが引き金となって、リサイクルや生ゴミの堆肥化など、ゴミゼロを目指した循環型社会を作ろうと言った話しがよく聞かれるようになり、ようやく日本でも「環境」という言葉が市民権を得てきました。
しかし、誰もがそうあるべきだと思っているにもかかわらず、かけ声とは裏腹に現実は使い捨て消費社会がますます進行しています。
いったいなぜでしょうか。
実は、資源が乏しい日本が加工貿易立国を目指した時点で、そういう宿命を背負ってしまっているのです。それに加えて、価格破壊のかけ声で経済のグローバル化が進んで、海外から安い物が大量に持ち込まれて使い捨てられていることもそれに拍車をかけています。
この日本の貿易を金額ベースで見ると、毎年大きな黒字を出す大輸出国なのですが、これを重量ベースで見るとどうなるでしょう。
農水省の篠原孝氏によると、日本には毎年8億トンもの「物」が輸入されているそうです。食糧だったり、飼料であったり、木材、石油、鉄鉱石、工業製品…、ありとあらゆるものが日本に持ち込まれています。
それに対して輸出される重量は7千万トン。差引7億3千万トンもの「物」が、毎年日本の国土に堆積している勘定になります。
国民1人当たり毎年7トンもの「輸入物」です。
それがゴミとなって山や大気を汚染し、下水となって、あるいは肥料となって農地にたまり、地下水や川、海を汚染しているのです。国土の富栄養化は深刻な事態です。
彼に言わせると、人や家畜の糞尿は、輸出した国に送り返さないと日本の環境は救えない。それにかかるコストも輸入物には上乗せする必要があると。 …しかし、輸送にかかる膨大な石油エネルギーでまた環境が悪化する。
どうしたらよいでしょう。
そうなんです。環境を守るためには、出来る限り地域で自給し、輸入物の流れ込みを少しでも阻止することが大切なのです。価格ばかりに目を奪われずに、地域で循環できる物を買う習慣を身につけなければならないのです。
今の、当然のように便利さ、安さを求める使い捨て消費社会は、その陰で確実に環境破壊を進めています。しかし、いずれはその安さどころではない莫大な費用をかけて、環境を修復しなければならない時が来ます。それは、現代人が今の便利さのためだけに次の世代に背負わせている、大きな大きな負の遺産なのです。
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筋田靖之 093-293-2975 遠賀郡遠賀町上別府1683